このブログでは、小説の書き方を現役の作家に直接聞いたことをメインに発信しております。
素人である私が質問し、先生がそれに答えるという形式のため、内容を深く知るにはこの形式で良いのですが、俯瞰的に小説の書き方の概要を知るには少々問題がありました。
そのためこれまで先生に聞いた中で、特に創作のヒントになりそうな一言をまとめてみることにしました。
まとめてみて初めてわかったのですが、小説家になるにはただ単に小説の書き方だけを知れば良い訳ではなく、作家として生活していくための心構えも重要だということに改めて気がつきました。
辛口な言葉も多数ありますが、創作する上での基本的なことが大半で、壁に当たって悩んだときのヒントにもなります。
本気で小説家を志す方のヒントになれば幸いです。
小説の書き方

創作の原稿ね、小説とか脚本とか、子供の作文でもいいけれど、一読させてもらえれば、おおよそ、その人間の「中身」がわかる。クリエイティビティの部分の「何か」に引っかかるんだね。そいつの創作の「アキレス腱」がわかっちゃう。
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着想から書き出すまでの時間

面白い物語が思い浮かんだからといって、すぐに書き出さないことですね。まずその「想い」を飲み込んで、胃で咀嚼させてウXコを出す。そのプロセスを経ることで、あなたの作品はぐ~んと「厚み」を増すはずです。
モチーフとは
- モチーフとは、テーマのこと。
- テーマというのは、創作したい「こと」
書き出し
- 書き出しの3ページぐらいで、その作品の匂いがわかる。
- いろいろな人が感受性を持っているが、その人独特の感受性がある。
- 書き出しの5~10行が、その人の性格を表している。
- 書き出しを何通りも書き出してみる。その中で一番しっくり来る書き出しは何か?
ネタ探しのヒント
- 幼少時代の思い出から連想できるキーワードを書き出してみよう。
<例>
子供の頃の夕暮れ時の思い出、夕暮れの自転車、盆踊り、ソースの匂い、オレンジ色のランプなど
- ネタというのは、自分のフィルターを通してウXコにして出すことなのだ。
- 自分の経験上、”イタい”ことを思い起こす。そこがアキレス腱。自分のアキレス腱に注目しよう。
- 小説などの創作作品を執筆するためのエネルギーというか、ネタの発露、創作の発見は、常に日常生活 の中にある。
- 書き手自身が、小説の主人公になりうるような人間が書く作品だからこそ、面白い!!
- 芸術家の効果。「異化効果」「同化効果」この2つしかない。
キャラクター設定のヒント
- 創作は、主役を見つけること。各人物の特異なキャラのみ追いかける。欲張らないこと。自分の中で気に入ったものを際立たせる。
魅力的なキャラクターを思いつくには?
- 魅力的なキャラは、結局は、あなたが生活する日常の中で、ごく普通に出会ったりすれ違ったりする、膨大な数の「誰か」の中に、創作のヒントが転がっているのですよ。
- 間違っても、長いこと部屋に引きこもり、誰とも会話一つかわさず、自分の限られた空想、妄想の中からは、魅力的なキャラは生まれるわけがない、のです。
- 「創作の前に、まず生活ありき」これが、魅力あるキャラを生み出す【基本】である。
個性的なキャラのヒント
- まずハッキリいえることは、こんなところに簡単にその答えが転がっていると思っているような人には、おそらく当分、「個性のあるキャラ」など創作できないだろう、ということ。
- 描かれる「誰か」は、あくまで人間である以上、ひょっとすると、あなたのすぐ隣の「あの人」に似たキャラの人物かもしれない。学校や仕事の帰りにちょくちょく立ち寄るコンビニの、「あの店員」に似たキャラの人物かもしれない。
-
個性のあるキャラクターというのはどうやって設定すればよいのでしょうか?
まずハッキリいえることは、こんなところに簡単にその答えが転がっていると思っているような人には、おそらく当分、「個性のあるキャラ」など創作できないだろう、ということ。 個性的なキャラクターを設定するには ...
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文章の書き方
- 文章とは、書き手が思うほど能弁ではない。ここに気づくだけで、文章のレベルが上がる。
- 呼吸が浅い人は、読点が多い。
- 文章とは呼吸である。そして、リズムである。
- 色気のある文章と色気のない文章はどこが違うのか?
- 誰が言いだしたのかは知りませんが、昔から、文章を書くときは『3かく』を心得よ、とよく言われます。『3かく』……、1つ『恥をかく』、2つ『汗をかく』、3つ『○○をかく』
- 昔の作家は、万年筆や筆を使って、1文字1文字、指にペン蛸をこしらえつつ、掌の腹を真っ黒にさせつつ、必死に原稿用紙の升目を埋めていくのが当然のことでした。途中に1文字でも誤りが生じれば、 原稿用紙の冒頭から書き直しになります。
- 必然的に、なるべく書き直しの必要がないように、自分の文 章に磨きをかけるような意識が、常に働きます。モノを書くという行為は、決して誇張ではなく、額に 汗をする重労働でした。
- ただスラスラ読めればいいのか? というと、そんなことでもなく、ある程度の「引っかかり」のある 文章の方が、ある方向の読物には最適なため、めちゃめちゃ高く売れたりもしま す。
創作とお金の関係
- 人は、クリエイターの説得力にお金を払う。
- とにかく「上手い!!」文章が書ければ、すぐにも「売れ」ます。その逆は、どんなに書き直しても「上手 くない」ので、その文章は売れず、お金になりません。
- お金になる文章とお金にならない文章の違い。答えは簡単(笑)。とにかく「上手い!!」文章が書ければ、 すぐにも「売れ」ます。その逆は、どんなに書き直しても「上手くない」ので、その文章は売れず、お金 になりません。
- ごく親しい友人に、かなり好意的に読んでもらっても、「内容がよくわからない」と首をかしげられる ような文章は、当然ながらお金になりません。
キャッチコピーの作り方
- 昔からよく言われることですが、若手の編集者やライターのうちで、キャッチ書き、キャプション書きが上手いやつは、クリエーターとしてのセンスがあることを上司に認められ、結果、出世が早いのです。
- キャッチもキャプションも、センスが命です。文章の上手い下手とは、また次元の異なるテクニックが必要とされます。乱暴にいうと、センスのないやつは、いつまでたっても上手くなりませ ん。
- いきなり写真に「しっくりくる」言葉を書こうとしても、日常の思考的にその手のトレーニングがなさ れていない人は、ハッキリ言って無理です。最初は下手糞なものになるのも当然です。
コラムの書き方
- コラムが、写真などのキャプションと勝手が違うのは、コラムはどんなに短くても、数百文字の文章が必要だというところでしょうか。
- コラムを書く時は、「書き出しの3行だけ」頑張ってみましょう(笑)。小説だと書き出しの数ページ、コラムでは書き出しの3行、が勝負です。
- 日常的に、いつもコラムに使えそうな面白いネタ、風変わりなネタを、探してストックしておくことは大事です。そして1つのネタから、いかに貴方のイマジネーションが拡がるか? 脳ミソを「その」ように鍛えておくトレーニングが必要です。
-
今度社内報でコラムを書くことになりました。コラムを書くコツはありますか?
コラムを書くにはコツがあります。 コツさえつかめば、誰でも簡単にコラムが書けるようになります。 そのコツとは、つまり「書き出し」です。 「書き出し」が書ければ、誰にでも簡単にコラムが書けるようになりま ...
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エッセイの書き方
- フォトグラファーのエッセイはおもしろい。独特の視点がある。何が面白いかと いうと、先にカメラのフォーカスがあってそこから文章が展開していくところ。
- 文章には二通りある。自分史や自分の性格から導かれる文章。これを「実」とする。もう一つは、「虚」と言って、「実」から派生されるイマジネーションおよび妄想などを踏まえた創作的な文章。
- エッセイは、「実」の方が強くなる。でも、「実」だけだと、日記。だから、エッセイの場合は、「実」に少し「虚」をいれる。
- エッセイを書く時は、起承転結を考えろと言われるが、そんなことはない。書き出しが重要。ひとによっては、小説みたいになるし、評論文みたいになったりする。
- 俺はこれでいいんだ!というのを掴むまでが大変。(掴んでからも大変なことはあるけれど)
- 動物ネタや育児ネタは、「あるある」が大事。
官能小説の書き方のヒント
- 官能小説のエロと文学の中におけるエロスは、似ているんだけど、似て非なるものが有る。
- 男女の交わりは、どんな人種・職業にも共通するテーマ。
- 官能小説というのは、擬音(オノマトペ)が大事。
- 模倣を恐れるな!
-
官能小説家になるにはどうしたら良いのですか? 新人賞などはあるのでしょうか?
もし本気でプロの官能小説家になりたい!! のであれば、 まず自信作と思える作品を書き上げて、 現状、その種のジャンルの刊行物を発行している出版社や編集部に、 思い切って持ち込みをするのがいいでしょう。 ...
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小説家になるために。作家としての心構え
- 「畳の上で死ねない」人生を、みずから選べる人間だけが、創作の世界の住人になれます。
- ヒト様に対し「恥をかく」ことを拒絶する方は、あらゆる創作行為は「おやめなさい」と言いたいです。
- クリエーターを志望する者は、なるべく早い時期に、「自分とはナニモノか?」を、主観的、客観的に把握しておく必要があるのです。
- 自分の性格のキャパを超えたものは、表現できない。だからこそ、自分探求が必要。
- どんな仕事であれ、適当にデッチ上げておいて、ヒト様に過大な評価をされるような現実は、どこにもありません。
- 自分の性格のキャパを超えたものは、表現できない。だからこそ、自分探求が必 要。
- 何故”短所”は、武器になるのか?”短所”だから厳しくとらえる。だから、せっぱ詰まってくる。切羽詰ると何か答えを出そうとする。そこが武器になる。
自分史を探る意味
- 自分を探るのに、手っ取り早いのは、生まれ育った「過去」を、あらためて冷静に見つめることが肝要。 その行為が → 自分史である。
- あなたは「一体何者か?」を、自分自身でちゃんと把握することが、イコール自分史をしっかり学ぶことになります。自分史を考察することは誰よりも社会人に必要なスキルです。
- 誤解していただきたくないのは、ここでいう「自分史」は、決して安易な「自分探し」ではない。
- 何年になにをしたという自分年表ではなくて、ざっと自分を振り返ったことを書い てみよう。
なぜ自分史が創作に重要なのか
- 自分自身がわからないと、架空の人物を作ることもできない。
- どう妄想したって、自分の世界の中でしか表現できない。そこに気づかないと、作品はよくなっていかない。
創作のリアリティ
- 創作のリアリティは、現実空間のリアリティとは似て非なるもの。
- 内面のリアルさを追い求めよう!
- 空気なんて読まないで、内面のリアリティを追い求めよう!
小説家に向いている人
小説家に向いている人。
1に「好奇心が旺盛な」人、2に「変態である自覚のある」人、3に「自宅からほんの数分のところにあるコンビニに、煙草を買いに行っただけで、何かしら事件に巻き込まれる」 人。
自らの殊勝な気持ちで言えるか。
文化の伝承というのはね、古今東西、上の世代から下の世代に伝承されるのが筋で、その逆はあり得ない。たとえば大正時代の「文化」に興味があるなら、みずから殊勝な気持ちで「お願いします!!」とお伺いをたてない限り、大正の「文化」が、まるで自動的にスルスルと下りてくるなんてことは、絶対にありえない!!
-
小説家に向いている人はこんな人 現役の作家に聞いてみた
小説家に向いている人 1に「好奇心が旺盛な」人、 2に「変態である自覚のある」人、 3に「自宅からほんの数分のところにあるコンビニに、煙草を買いに行っただけで、何かしら事件に巻き込まれる」人。 詳しく ...
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創作で大事なこと
- 大切なのは、宣伝ではなく、中身を磨くこと
- 創作は、主役を見つけること。各人物の特異なキャラのみ追いかける。欲張らないこと。
- 自分の中で気に入ったものを際立たせる。
- 創作で大事なことは、自分史の中の諸々を事実は事実として、掛け値なしに認めてしまう
才能について
- 性格は、才能よりも最優先にすべき。才がいくらあっても、性格によって磨耗してしまう。
- あなたの性格は、創作をする上で、秘伝のタレになる。
- 「自分史」を考える最大のメリットは、自分の「ホントウ」の性格がわかる!! ことです。
- 何故”短所”は、武器になるのか?”短所”だから厳しくとらえる。だから、せっぱ詰まってくる。切羽詰ると何か答えを出そうとする。そこが武器になる。
- せっかちな人のダイエット方法とマイペースな性格の人のダイエット方法は違います。問題は、自分が どんな性格かわからないことです。だから、目標達成が中途半端になってしまうんで す。
- 生まれ持った能力の「あるなし」はともかく、各ジャンルのクリエーターにとっ て、どんなハジけた作品、気をてらった作品でも、逆に地味で保守的な作品でも、「そういう作品を創 りたい!」という意思は、たとえ無意識であれ、その者が生まれ育った性格の中から生じるものです。
- せっかちなやつは、どうしたってスローになるわけな い。
- どんなにドデカイことをなそうとしても、性格によってはなしえな い。
- 自分を語りたくないから、プロフィールをほとんど不詳にしている。自分のことを 「探られたくない!!」エネルギーって、逆に、とてつもなく自分を意識しているエネルギーなんだな h
- 短気なやつは、いかにも短気な思考から紡ぎ出された作品が飛び出すし、気の長いやつの作品も、理屈 は一緒。
- 自分の性格にどんな抵抗を試みても、紡ぎ出される作品は、無意識に書かれることがほとんどなので、 短気なやつは短気、気の長いやつは気の長いやつ、なりの作品しか成り立ちようがないので す。
壁にぶち当たった時に
- 人生の航海図を作ることは、自分が生まれ育った「過去」を冷静に見つめてみることから始まります。
- いい人にはならなくてもいい。なぜいい人にならなくてはならないのか?考えたことありますか?
- 今わからないことが3年後、5年後にわかればいい。5年先にならないとわからな いことを今思い悩む必要はない。
- 自分の了見を考えてみる。他人の悪いところはわかる。だから、自分の悪いところ も把握しておいたほうが良い。
- 自分のアキレス腱を他人に指摘されてはいけない。私はこうですよ!!と自分から 言えるのが強い。
- 「人は生まれながらに、すでに平等じゃない。10人が10人、全員、家庭環境も 姿かたちも「何もかも」が違う。人によっては差別だと感じることもある。それは仕方ない、生涯、そ の人間が背負うべき「宿命」である。
- 貧乏か貧乏じゃないかは、オレ(自分)の問題だ!
- やりたいことと、実際やっていることのギャップがはげしい→もしかして、自分を見失っているかも。
- 人生の良し悪しは、生まれ持った了見の有り様ではないか?つまり、生まれ持った血は争えない。
- 生まれ持った血は争えない。親を捨てようがどうしようがそれは治らない。DNAを 責めるのではなくて、じゃあ自分はどう生きていけばいいのか?それは自分を律すること。つまり、自分のアキレス腱を認知すること。
- 自分のアキレス腱の認知の仕方は、自分の嫌な部分を見つけること。自分で意識して、 あ、これが嫌な部分だ、と見つけるのだ。
- 自分の了見を考えてみる。他人の悪いところはわかる。だから、自分の悪いところも把握しておいたほう良い。
- 自分とはナニモノか?とは、自分が一生を通して叶えたいものを見つけ出してくれる鍵となるものです。
- 肉親や知人からの「ちゃんとする」より、自分だけの「ちゃんとする」を大切にしよ う!
- 「私はブレない」「私はちゃんとしている」を寝る前に10回繰り返そう!
- 自分にやさしくなったほうがいい。
- まず、デメリットを受け入れてみる。そこからだ。
小説の学校は必要か?
世の中には、小説作法を説いた書物は、昔も今もたくさんあります。
でも、どれひとつとして同じことの書かれたものはない。ということは、自動車教習所で学ぶ運転技術のような、「こうしなきゃいけない!!」という厳密なルールが存在しない、という証拠でしょう。
どこの老若男女にも「読める日本語」で作品を書く。そのためには、自動車教習所で運転の技術を学ぶのに似た、「それなりの鍛錬」が必要です。
「それなりの鍛錬」は、「それなりの経験」のあるプロの作家なり編集者、評論家による指導のもとに 行われなければ、意味がありません。厳密なルールはない」小説創作でありながら、それでも、やって「正しいこと」と「絶対に間違って いること」の違いだけは、明確に存在するからです。そしてその違いを、リアルに体得し、認知できて いるのは、私も含めた「プロ」と呼ばれる職種の連中だけです。
ただただ好き勝手に作品を書きまくり、自分のHPなどにアップし、親しい友人たちの無責任な「いいね」ボタンだけを頼りに、有頂天になっているうちは、創作の上達など、とてもじゃないが望めない、とだけは明言しておきます。
誰がどんなに感動しようとも、才能のある者がクリエイトした作品と、そうでない作品との違いは、プ ロの、鑑(み)るべき立場の人が鑑れば、明らかなのです。
世の中には、薄っぺらな感動と、深い感動、の2つがあります。自分が、はたして「薄っぺら」な感動しか生まない才能の持ち主か? 「深い」感動を生むべき才能の 持ち主か? はたまた、まったく才能の欠片もない人間か? の判断は、作品をクリエイトする自分自身では無理です。