新聞でも雑誌でも、何かの写真が載ると、たいがいはその周囲に、少し大きめの文字で、読者の目を惹かせるための言葉(キャッチコピーと呼びます)や、数十文字の写真の説明(キャプションと呼びます)が存在します。読者の立場の皆さんは、普段、それらのキャッチだのキャプションを、さして意識せずに流し読みしているはずです。
これらは、雑誌の編集部や新聞社に入社すると、最初にやらされるたぐいの業務ですが、いざやってみると、すぐにわかります。簡単なようで、なかなか骨の折れる仕事なのです。質問者同様、「どうもうまくいきません」のです(笑)。
でも、昔からよく言われることですが、若手の編集者やライターのうちで、キャッチ書き、キャプション書きが上手いやつは、クリエーターとしてのセンスがあることを上司に認められ、結果、出世が早いのです。
写真に合う言葉を探すコツ
センスが命
キャッチもキャプションも、センスが命です。文章の上手い下手とは、また次元の異なるテクニックが必要とされます。乱暴にいうと、センスのないやつは、いつまでたっても上手くなりません。
数を書きまくっているうちに、いつの間にか「コツ」を体得することも、あるにはあるでしょうが、やはり天性のセンスの才能を持ったやつにはかないません。
その事実をよく把握したうえでーーー、
では、何かしら、上達のコツは具体的にあるのか?
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写真に添えるキャプションをつける2種類の方法
写真に添えるキャプションには、2種類の「方法」があります。
(a)その写真に撮られた状況を、文字によってより詳しく説明すること。
これは、芸術の世界では「同化効果」といいますが、写真と文字とが「同じ方向」のイマジネーションの膨らみを生むよう、書き手が意識する「方法」です。
(b)その写真とは、一見まったく正反対の意味合いになる言葉、ないしは、まったく無関係に思われる言葉を、意識的にわざと写真に添えること。
これは、芸術の世界では「異化効果」といいまして、いわば写真と文字とのコラボです。写真のインパクトと言葉のインパクトとを、等価値にがっぷり四つに組ませることで、読者への伝達のエネルギー、および拡がるイマジネーションは、写真単体、言葉単体の、何倍、何十倍にもなりうるという「方法」です。
各種の情報雑誌の場合は(a)が多くなり、芸術系の刊行物だと(b)が多くなります。
どちらの「方法」を選択するかは、貴方の写真を載せる媒体が、どんなたぐいのものであるかによって決まります。
トレーニング方法
(a)を上手くなるためには、日常のどんなシーンでもいいから、すべて100字以内の言葉で説明してみる……、そんなトレーニングを心がけてみたらどうでしょう。
青い空なら「青い空」らしく、白く小さな犬なら「白く小さな犬」らしく、幼い子供なら「幼い子供」らしく、単純な表現でかまわないので、そのかわり、誰が考えたのでもない、あくまで貴方自身から紡ぎ出された言葉で、目の前の写真を「的確に表現する!!」ことが大切です。
(b)を上手くなるためには、普段の日常生活の中で、常にイマジネーションを膨らませるトレーニングを試みること。
青い空の写真を前にしたら、青い空から連想される「あらゆるもの」を、いったんメモとして書き出してみましょう。ある人は、青い空を見ているうちに、311の震災直後を想うかもしれない。またある人は、青い空が別れた恋人の顔、その恋人とのキスやS◯Xを思い出すかもしれない。
いきなりは無理。めげずに焦らずが効果的
いきなり写真に「しっくりくる」言葉を書こうとしても、日常の思考的にその手のトレーニングがなされていない人は、ハッキリ言って無理です。
最初は下手糞なものになるのも当然です。その事実にめげずに、決して焦らず、まずは上記のことをやってみることで、脳ミソの働きを柔らかくするのが効果的です。
お試しあれ。